そこからの行動は、自分たちでも驚く程早かったと思う。
「お願いしまーす!」
「B組の野崎理流くんに、体育祭の参加許可をお願いします!」
「署名してくれたら、もれなくヒナから嬉しいお礼が付くよー!」
「ちょっと、ヒナ真剣にやりなさいよ!」
次の日から、あたしたちは校門の前に立ち署名を集め始めた。
ミチルくんの体育祭参加の為に。
思い出作りの為に。
『しょ、署名?』
ちづちゃんの言葉に、あたしたちは同じタイミングで眉を寄せた。
ちづちゃんは
うん、と頷き続ける。
『あたしたちだけでどうにかしようとしても、それはやっぱり無理でしょ?』
『うんうん。』
『なら、みんなにも協力してもらえばいいのよ。』
『そっか!みんなの署名があれば、先生だって考え直してくれるかも!』
そう、ミチルくんはこの学校の人気者だ。
それならすぐに集まるかもしれない。
出来るかもしれない。
あたしたちだけでも、ミチルくんを。
『みんな…、』
『よかったね、みぃこ!』
『…うんっ!』
ミチルくんを、救ってあげられるかもしれない。

