…愕然とした。
本当に、体育祭が原因だったなんて…。
なのに、あたしは―――。
西くんはそこで少し笑顔見せ
あたしに気遣ってか重くならないよう、明るく話し出す。
「一年前の体育祭の時、結構大きい乱闘事件があったんだよね。」
「…ら、乱闘?」
「うん。北高のヤツらが突然乗り込んで来てさ。」
ウソ…。
そんなことがあったの?
北高とは、うちの高校…
葉倉(はくら)高から一番近い場所にある男子校だ。
問題ばかり起こすという悪名高い人たちが集まってる、なんて噂もある。
だからあたしがこの高校を受けると言った時
『北高が近いからやめなさい!』
と、お母さんが散々心配していた。
…でも。
「それが、ミチルくんの留年と…何の関係があるの?」
「関係ありありだよ。だって、」
その瞬間、西くんが言葉に詰まった。
西くん…?
あたしは首を傾げ、彼の言葉を待つ。
そして一呼吸置き、西くんは躊躇いがちに言った。
「アイツらの狙いは、エースだったんだから。」

