深想シンドローム



「もぉ、とにかく――、」

「うるせぇな!!!」



体を起こし、ミチルくんがあたしを睨む。

今まで見たこともない眼で、聞いたこともない声で。



「俺がどうしようが、おめぇには関係ねーだろうが!!!」



全てを、あたしを
否定するように、そう叫んだ。



真っ青な空に、羊雲が流れてゆく。

青々とした草木が、風になびいた時。



「…ごめんなさ、」

無意識に、あたしはそう呟いていた。


だけどさっきの彼を思い出し、あまりの迫力にぐっと言葉が喉の奥に引っ込んでゆく。

気が付けば、あたしは体が震えていて。


そんなあたしに、顔色を変えたミチルくんは気まずそうに口を開いた。



「…悪ぃ…、」

「い、いえ…あたしこそ、本当に、ごめんなさい…。」

「…いや、お前は悪くねーよ。」

そのまま、ミチルくんは自分を責めるように頭を乱暴に掻く。


胸の奥が、ズキズキと音を立てる。


あたしはこれ以上、ここに居ちゃいけない気がして

「あ、あたし、もう行きます!」

出来る限り明るく振る舞い、ミチルくんへ背を向けた。



と、その瞬間。



「ミーコ!」




ミチルくんの声が、あたしを呼び止める。