「おはよー、ミーコちゃんっ!」
「きゃああっ!!!」
ポン、と肩を叩かれ
あたしのスクリームが廊下に響き渡る。
涙目で振り返ると、そこにはヘアバンドをした西くんが耳元を押さえて立っていた。
「随分と元気な挨拶だねー。」
相変わらず、ニコニコと擬音が聞こえてきそうな爽やかな笑顔。
けどあたしはそれどころじゃない。
心臓が壊れてしまったんじゃないか、ってくらい暴れていて。
「はい、ちょっと拉致りま~す!」
と西くんに腕を引かれるあたしを、他の3人が目を点にして見ていた。
助けてぇぇえー!と、SOSを送るあたしに気が付かないままに。
「ミーコちゃん?」
「はぃぃぃ…。」
西くんに連れて来られたのは、何故かB組の教室。
薄汚れたカーテンに、ラクガキだらけの黒板。
ここはいわゆる、問題児の集まるクラス。
その証拠に、丸坊主の鼻ピアスをした男があたしたちの様子を観察していた。
「何で呼ばれたか、わかってるよね?」
「……っ。」
掃除用具入れと西くんに挟まれ、身動きの取れないあたし。
顔は笑ってるけれど、目が笑ってない西くん。
「さて、ここでミーコちゃんに問題です。俺たちは、何?」
「……同、志です。」
「せーかいっ!」
逃げ場はどこにも、ない。

