深想シンドローム



ぎゅっと手のひらを握り締め、顔を上げた。


「…ミチルくん。」


その呼び掛けに、ミチルくんの真っ直ぐな瞳があたしへ向けられる。

一瞬だけ、時間が止まったような気がした。



…大丈夫、大丈夫。

呪文のように何度も唱えて、心を落ち着かせる。



ミチルくんなら、きっと。




「頑張ろうね!」




―――きっと、大丈夫。





そう言ったあたしに
ミチルくんは「あぁ」とだけ呟いた。

多分、それがミチルくんの答え。



「みぃこ、行くよ!」

「うん!」


だからあたしは笑顔を作って踵を返し、ヒナちゃんと走り出す。



「頑張れよー!」


と叫ぶ、西くんの声を背中に受けながら。