深想シンドローム



「…ミーコちゃん。」

崩れ落ちたあたしに、西くんが優しい言葉をくれる。



「ミーコちゃんはよく頑張ったよ。」

「……っ。」

「誰よりも、一番。俺は知ってるから。」



ポンポン、とリズムよく肩を叩いて、西くんは笑った。

いつだって
こんなダメなあたしを救い出してくれるのは、西くんで。



「行こう。俺たちまで体育祭出れなくなっちゃうし。」


だからこそ
あたしは素直に頷くことが出来た。


西くんに手を引かれ、座り込んでいた体を起こす。



そして、もう一度だけ。

最後の望みを賭けるように、扉の方へ振り返ってみた。



もちろん、状況が変わる訳じゃない。

それでも
心のどこかで、ミチルくんが来てくれることを願ってる。


けれど、無理強いをしてミチルくんのことを傷つけてしまうのは嫌だから。

それだけは、どうしてもしたくないから。



「ほら、ミーコちゃん早く。」

「…うん。」

後ろ髪を引かれるような思いで一歩階段を下りた。





…と、その時。