「海斗、泣きながら俺に連絡してきた。」



「海ちゃんが!?珍しい。ねぇ?名前決めたって言ってた?」



「あぁ…何か花の名前だったなぁ…」



「早く!!思い出してよ!!」



「初美さんのおばあちゃんが好きな花の名前…って言ってた…」


思い出した。



と、朔來に耳打ちをした…



“桔梗”


と言って、こう付け加えた



「紫色の綺麗な花だよ…俺たちのじいちゃんも好きな花だったんだ。」


「そっかぁ、良い名前だね。あっ、私たちの子どもの名前も考えなくちゃね…」


とニッコリ笑う朔來。


「そうだな。」


と微笑み返した春斗。



優しい雰囲気を乗せたタクシーは、病院へと走り出した。