“私が死ねば良かったのかな”

唯さんの見開いた目が驚きと寂しさを含んでいた。


唯さんの手に握られたリンゴが布団に落ち
小さめのナイフが私の首に当てられた。


本当に死んでもいいと思った
生きる意味が見いだせなかった。

目を閉じて浮かぶものなど無いはず‥
なのに

浮かんだのは私自身よりも大切なコーキ

私死んだら泣いてくれるかな、悲しんでくれるかな。


閉じた目から流れる涙も拭わず
首に触れるひんやりとしたナイフが刺さるのを待っていた。

生まれ変わったら
私は絶対に
生まれてきたくない。

鳥にもならなくていい、人間はもっとイヤ。

『唯さん‥最後に一つだけ。
私が死んだら豪華なお葬式もお墓も何もいりません。
ただ少しでいい。
嘘でも目薬でもいい。
泣いてください‥
偽りでも悲しんでください』

もう、死ねばいい。
私なんか。

ただ首から血が流れるのを待っていた。