続・彼女が愛した温もり



『伊藤先生!』

教材を重たそうに持ちながら
職員室に帰ろうとする先生を呼び止める

『何だい?』

不機嫌そうに低い威圧的な声に怯みそうな自分を押し殺し

『何で私を嫌うんですか?』
昔から気になる事はちゃんと聞かないと気が済まなかった。

でも、伊藤先生に
自意識過剰だと被害妄想だと言われたらそれまで。

でも、まだ少しの良心が余ってた先生は冷たく言った。


『君はこの学費が高い学園に家族に学費を払ってもらう生徒が少ないのが知っているか?』

『‥』

『多くの生徒が優秀という事で奨学金や特待生制度で学費を賄っている

でも、
君はどうだろうか?
家族に学費を払ってもらえる立場にありながら学校には来ず学費の無駄遣いじゃないか。
働く事の金を稼ぐ事の大変さを知らないからそんな身勝手な事が出来るんだ。』


そして伊藤先生は重たい声で

『そんな親不孝な生徒は嫌いだ
悔しかったら学校で勉強をしなさい
本来の君の力はこんなものじゃないだろう』

職員室へと去っていた。

伊藤先生の言う事が全て正しくて
何も言えなかった。

悔しいよりも情けない。