金髪との邂逅からしばらくして、アタシの生活は平穏を取り戻して──いなかった。残念なことに。

いや、普通に大学にも通ってるし、加奈子とも仲良くやってるわよ?
別に金欠でもないし、病気にもかかっていない。

ただ、ねえ。

自分でもよくわかんないんだけどさ。
あの時。金髪とご飯食べた時に感じた違和感みたいなものが、ずっと付きまとってくるのよね。
あの、表情の違和。

いや、そもそも表情に違和感を覚えたのかもよくわからない。
まあでも、何かに違和感を覚えたのは本当で。


かれこれ2週間くらいは、その違和感のせいでもやもやと。
これを平穏と言える猛者がいるなら会ってみたいわ。

これがまた、金髪のことについて考えてると思うと、余計にもやもやと。
あんな奴のこと気になってる訳じゃないし、正直どうでもいいハズなんだけど……。
あの違和感だけが、気になって仕方ない。

大事なのは『金髪を気にしてる』じゃなくて『金髪に感じた違和感』だからね。
勘違いしないでね。


そんな訳で、アタシは多少精神的にまいっていたのかも知れない。
誰かに相談出来れば楽だったのかも知れないけど、自分の中の違和感を相手に伝えるのは難しい。
その上、それがあの金髪関連だと分かれば、弄られるに決まっているのだし。


だから誰にも、何にも言わないまま時間が過ぎて。
もやもやと苛々のまま、事件が起きましたとさ。