「カナちゃん。気持ちは嬉しいんだけど、無理せんでいいかんね?別に今すぐ新しいメンバーいねえと、何かマズイ!って訳じゃねーし」

「そう?でもほら、面白そうだし。友達が困ってるなら尚更、ね」

「アンタは『面白そう』しか考えてなかったでしょうが」

「むー!あざとちゃんが酷い!」


いや、だってホントにそれっぽいんだもの。
後先考えてない辺りはアンタらしいけど、冷静になりなさいよ。


「ま、練習時間とか楽器の有無とか、経験とか色々あるからな。だからほら、友達を助けるつもりなら、次に俺らがステージ立つ時、見に来てくれるだけでいいかな?」


あんま無理もさせたくねーし。と金髪が言う。
なんかえらくまともな意見に、ちょっぴり不安になったりするんだけど。

それとこいつ、もしかして冗談に対して『本気で』突拍子もないこと言われると、意外と脆いんじゃないかしら?
もしそうなら、底辺辺りに常識みたいなものが残って──ない、かな。やっぱり。

そんなこと考えてる間も、加奈子と金髪の話は弾んでいく。加奈子が加入云々は、次のステージ見に行く約束で流れたらしい。
ま、向こうにしたってド素人掴まされるよりはいいでしょ。


「ところで、レオ君的にはどんな人を探してるの?」

「美人さんなら言うことねーなぁ」

「アンタの頭はそれしかないのか」


思わずツッコミを入れると、「冗談ですよー」と返ってきた。
デヒャヒャヒャヒャ、なんて不気味な笑顔を見せてくれるが、冗談じゃなきゃ質が悪すぎる。


「別にこれといって高望みはしちゃいねえんだけどさ。最低限、ベースが弾けることと、俺とシンの感性に合うかってことくらいかな」

「アンタと合う感性の持ち主なんかいるのか?」

「うわっ、あざちゃんヒドス!?」


我ながら酷い言い種だと思うけど、実際にそう思ったんだから仕方ないじゃない。


「んー。でもレオ君と組んでるってことは、シンさんはレオ君の感性に合ってるってことだよね?じゃあいない訳じゃないんじゃない?」

「む、確かに」


そう言えばそうだね。
よくこんなのと組んでられるな。