野良ライオンと文系女の猛獣使い

「俺様としても、シンにはさっさと本職に戻ってほしいんだけどな」

「新しいメンバーが見つからないんじゃ仕方ない、と?」

「そういうこと」

「なんか勿体無いね。それ」


私の後に、加奈子が続ける。

勿体無い。
ドラムが本職というなら、確かに今よりいいバンドになるんだろうな、とは思う。


「そーなんよ、勿体無え。だからさー、二人の知り合いで良いベーシストはおらんかね?」

「え?」


言われて加奈子と顔を見合わせる。
ちなみに人付き合いが苦手な私は、言うまでもなく人脈もない。
結論として、そんな知り合いはいないってことなんだけど。加奈子はどうだろ?

そう思って様子を見てみたんだけど、ばっちり目が合った。ということは、加奈子も私と同じか。


「ごっめーん、アタシに心当たりはないよ」


案の定、加奈子は軽く答えた。
私も同じなので、頷いておく。


「そっかぁ……。残念だにゃー」

「ごめんねー」

「あ、じゃあ二人の内のどっちかがベースやってくれ──」

「却下」

「えー!?何でよ!?」

「何でっていわれてもさ……」


特に理由なんてない。っていうか、私ら二人とも楽器出来ないし。
そもそも、アンタが言うと下心ありそうで怖いのよ。大体、アンタだって私たちに期待なんてしてなかったでしょうが。


「まーなぁ。そうそううまくいくなんざ、思っちゃいなかったし」

「新しいメンバーは、自分で納得できる人を探してください」


と、私が言った直後、


「うゆ?冗談だったの?ちょっぴり、やってみても良いかなーって気分になったのに」

「「………」」


えーと、加奈子さん。アンタ何を言ってくれてんでしょう?
ほら、金髪まで微妙な顔をしてるじゃない。