野良ライオンと文系女の猛獣使い

「言っとくけど、加奈子には手を出させないわよ?」

あんまりにもその『軽薄そうな笑顔』が腹立ったから、宣言するつもりのなかったことを宣言してしまった。
金髪は一瞬だけ『ポカン』としていたように思う。


……いいわよ。こうなったら、ちゃんと宣言しておこう。


「加奈子にはちゃんと彼氏がいるし、あの娘はあんな性格だけど分別くらいわきまえてる」

「うん。そんで?」

「そんでって……そんな娘に手を出そうとすんなって言ってるの!いい?加奈子はあんな性格だから分かりづらいかも知れないけど、アンタのことなんか『男友達』としか見てないんだからね」

「うん。そんで?」

「……アンタ、話聞いてないでしょ?」

「キイテルキイテル」

「嘘つけ!!」


『ポカン』としたのは一瞬のこと、スグに立ち直った金髪は、こっちのセリフを全部聞き流すという暴挙に出た。
その間も、終始にやついているから余計に腹が立つ。


「や、あざちゃんは俺がカナちゃんを狙ってないか、心配してんだろ?」

「……」


聞き流してはいなかったらしい。……それはそれで凄く腹が立つ。


「その心配は杞憂ってやつじゃにゃいかにゃー。俺様、別にカナちゃん狙いって訳じゃないし」


妙にあっさりとした感じで金髪が告げる。
しかし、そんなのは簡単には信じることなんて、出来そうになかった。


コイツの表情のせいで、信じようとする気持ちが湧いてこなかった。