「ディーノ様が無力だと?
本気で貴様が思っているのなら
後悔以外しないと伝えておこう」
「それがオマエの答えということかね?」
ファルスはその表情を何一つ変えることなく
そう、眉ひとつ動かすことなく
「私にはそれ以外の答えはない」
「……忠誠とはときに破滅しか生まないというのに
なんとも物悲しい話だ。
ならば望みどおり、主人もろともこの世から消し去ってやろう」
刹那、ロシュナンドは右の人差し指でゆっくりと弧を描く。
白色の光を放つその弧はジリジリと鈍い音を立てたまま
ロシュナンドの指先の上で浮遊したまま
その先の獲物を待っているかのように飢えた咆哮をあげていた。
「さぁ……終焉だ」
ニヤリ……潤んだ赤い唇を歪ませて
ロシュナンドはほほ笑むと弧をファルスに向かって放とうと指の先を向けた。
「己の力に酔いしれるなど愚かな者のすること。
私は貴様ほど己を知らないわけではない」
淡々とした口調で告げるファルスに
ロシュナンドはギリッと強く唇を噛んだ。
己の指先にまとわりつく、何十という蝙蝠を払いのけようと大きく手を振り回す。
けれど、蝙蝠たちは死してもなおその指先から離れようとはせず
仲間の遺骸が消えてはそこに新しい命が続き
ロシュナンドの白い指先は上腕まで黒い塊によって覆われていた。



