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銀色の光がひと際輝いたかと思った瞬間に
弾けるようにその光が急速に散っていったのを
ファルスはただ見つめることしかできなかった。
月とともに主が戦っているであろう場所で見たものは
ファルスには信じがたいものであった。
と同時に
己が予感していたとおりになってしまっていたと
悔しさとも憤りとも言える思いが強く心に渦巻いていた。
月の悲痛な絶叫に
我に返り
意思よりも早く
身体は動いていた。
どこからともなくやってきた
数百、数千の蝙蝠の群れが
金色の青年を取り囲む。
その一瞬の隙にファルスは
金髪の青年の手の中で
ぐったりと動かなくなっている主人の身体を奪取した。
すぐに主人の首筋を確認した。
黒い二つの斑点は
まだ主人の褐色の肌の上には作られていなかった。
そのことにファルスは心底胸をなでおろし
キッと強く金髪の青年を睨みつけた。
そんなファルスに
眼前の金髪の青年は一瞥をくれ
その後、チッと舌打ちをしてみせた。
「思ったよりも早かった」



