『ブラ……ド』
深淵の闇から何本も何本も闇色の半透明の手が伸びてきて
それはディーノの足や手、身体に絡みつくようにまとわりつき
闇の中へと引きずり始める。
『ブラ……ッド……』
闇を見てはならない。
声を聞いてはならない。
破滅が音を立てて近寄ってくるのを
必死になってディーノは抵抗した。
けれど、想像以上に手の数は多く
その力を強く
抗っても、もがいても
執拗にディーノを捉え
闇の中へと引きずっていく。
「や……め……」
息をするのも苦しくなり始めるほど
覆う手の数は多くなり
やがて抵抗する力すら
ディーノから奪って行く。
『イン……ブラ……我に……』
心の中に冷たい雫が落ちる。
強烈な焼けつく痛みに
ディーノは叫び声をあげていた。
首を振り
のたうちまわるかのように――



