余裕の笑みを浮かべ
ただディーノを見据える金髪の青年に向かって
ディーノは地を蹴り上げ迫る。
業火を纏ったレディが唸り声を上げ
佇む青年の脇腹に一直線に向かって走る。
「そこだ!!」
青年に向かってディーノはレディを渾身の力を込めて一振りした。
けれど、それは青年の肉を割くことはなかった。
いや、それどころではない。
彼の皮膚一枚も割くことはなく、無傷の彼はほほ笑んだまま
レディの刀身を二本の指で軽く捉えていた。
「こんなものですか、王の力とは……」
絹糸のように細い黄金の髪を肩へと流しつつ
ロシュナンドは鼻先でディーノを笑った。
「なんとも稚拙。
なんとも未熟。
なんとも愚直。
これが至高の血脈を持つ者だとは笑止千万」
ロシュナンドの顔からは笑みが消え
身が凍るような憎悪の念が渦巻いていた。
その顔を見た途端に
ディーノの胸の奥へ過去がなだれ込んできた。
デ・ジャブ。
足元が地割れを起こし、深淵の闇が姿を見せる。



