Infinity blood ~孤高の吸血鬼は蒼い月夜に踊る~


「その彼女に酷い手傷を負わされた
未熟な王が何を言うのでしょうかね?」


フフフ……緩む赤い唇から
漏れる笑い声がディーノの古傷を疼かせた。


「未熟な王か否か
その身で持って知るがいい!!」


レディに左手をゆっくりと這わせながら
ディーノは今は知る者がほとんどいなくなった
古の秘たる言葉を口の端にのせた。

精神を高揚させられるように
レディはその刀身を
深い赤に染めながら
パチン、パチンと小さな火花をあげる。

それは悲鳴にも
歓喜の声にも聞こえた。


「その血もその力も
すべては我が愛しのキミに!!」


金の髪が揺れ
その双眸がむき出しの敵意で溢れた。

対峙するディーノの黄金の瞳が
彼に追いつき始めた蒼白い月の光に反射して
ひと際張り詰めた輝きを放った。


業火を纏うレディをその手に握り
ディーノは反対の手で
背を覆う白色のマントを翻した。


闇が白いマントによって払拭され
光の粒子たちが煌めきながら
雨の雫のようにその場に滴り落ちる。