Infinity blood ~孤高の吸血鬼は蒼い月夜に踊る~


「この程度でイラつかれるとは……王は短気な方ですねぇ」


背後で声がした瞬間、バチリッと首筋に細かな火花が散る。

ディーノは振り向くことをせず
前方へと身体を捻らせる。

捻りながら自分のいた場所を見る。

その瞳に青白い色のスパークを散らせた金髪の青年の右手が映った。


「雷光……!!
人間風情が……余計な力をつけやがって」


フッと空を見上げる。

北の空から不穏な影が迫ってくる。

どす黒い色の深い雲たちが月(マザー)の背後から迫ってきている。


「雷雲まで……月を捕えるつもりか!!」


レディを構えなおし、ディーノは前方を見据えた。

青年の顔には憎たらしいほどに余裕の笑みが浮かんでいた。

恐れもない。
怖さもない。

自信に満ち溢れ、その瞳は溢れんばかりの力に満ちている。

その背後に嫌な臭いが纏わりついていた。

血と腐敗した肉の臭い。

鼻先をツンッと強く押してくるその臭いに、ディーノは強く唇を噛みしめた。


「リザネロに囚われた未熟な魂風情が……!!」


呟くディーノに青年は小首を傾げて見せた。