「我が王を穢すモノは全て排除するのみ」
紅玉の瞳がひと際光り輝き
ファルスの身体から黒煙が揺らめき立つ。
「滅せよ、我らが夜の闇の中へ」
絞め上げた腕によって獣の首の骨が鈍い音を立てながら一つ一つ砕かれる。
獣はもはや声を上げることも
もがくこともできなかった。
ただ砕かれるその恐怖に顔を引きつらせながら目だけがファルスを追っていた。
ファルスはただ静かにその顔を睨みつけていた。
ほほ笑むことは一度もなく
ただ冷たくその目に視線を落とし続け、息の音を止めていく。
最後の骨が砕かれると
獣の目からは光が失われ
身体がぐらりと力なく揺らぐ。
ファルスは絞め上げたままの腕の力を抜くことはなく
絞め上げている腕とは逆の手を獣の心臓に突き立てた。
的確に心臓を貫いた手が引き抜かれると同時に
黒い血が一気にそこから噴き出し
それは崩壊する。
ドロドロと肉と骨が溶け
地面へとボタボタと落下して行く。
「浄化はお任せいたします」
背後に立つ蒼白く輝く月に向かってファルスは一礼し、ファルスは真っ黒に染まった左の掌をゆっくりと開いた。



