光の帯が徐々にロシュナンドとの距離を縮めてくるのを
忌々しげに見つめながら
それでも彼はその場から動くことなく前を見据えていた。
やがて光の帯の中に
白と黒の影が姿を見せる。
二つの影は夜の空を踊るように舞いながら
まっすぐにロシュナンドのほうへと向かって来ていた。
「今日は供連れとはな……」
ふぅっと小さく息を吐きだして
ロシュナンドは隣に控えていた獣の顎に触れた。
口元からは異臭とともに涎が垂れ落ち、喉は空腹に低いうなり声をため込んでいた。
「空腹を満たしたいか?
聖騎士だった頃の面影もないとは悲しいな」
くつくつと声を押し殺して笑いながら
ロシュナンドはバサリと緋色のマントを背中へと受け流した。
「行くがいいさ。
楽しんでくるといい。
そして悲鳴と血をあの方に捧げておくれ」
撫でるような声に
獣はひと際大きな唸り声をあげ夜空へと飛び出した。
向かう先は一つ。
獲物は二つ。
ただ欲望のままに走る獣にロシュナンドは不敵な笑みをのぞかせていた。



