Infinity blood ~孤高の吸血鬼は蒼い月夜に踊る~


「聖騎士のものですね」


いつの間にか傍らに立つファルスに
ディーノは苦い笑みを向ける。


「派手に踊られましたね」

「ま、たまには激しいのも楽しかろうよ」


そう言うとディーノは水晶石を親指で弾いた。

弾かれた水晶石は宙に投げ出されると
差し込む太陽の光にジュッっと鈍い音を立てて消え去った。


「濁った涙に用は無しか……父は無慈悲だな」


消えた水晶石を憐れむように見つめながら呟くディーノに
ファルスは何も言わず、同じようにそれを見つめていた。


「シュレーヌは?」

「眠って頂きました」

「帰さないほうがよさそうだな、あのお嬢さんは」


そう言うとディーノは転がっていた一人用のソファーを蹴り上げ
元に戻すとその場にどかりと腰を下ろして長い足を組んだ。


「どうなさいますか?」


ファルスの問いかけにディーノは口元を緩める。

真っ赤に咲き誇る薔薇の唇はなんとも楽しげに横に伸びていた。


「あれが聖騎士のなれの果てなら、あと4人」


フフフッと目を細める主人にしかし、ファルスは顔色一つ変えることなくその場に佇んでいた。