獅子の上腕が虚しく床を掃くその刹那を狙い
ディーノはレディを獅子の首根っこに深く突き立てた。
「ブ……ラ……」
串刺しになった頭が床に叩きつけられる。
黒い血反吐を吐きながら獅子は光を失って行くその瞳を必死に動かして
ディーノの所在を探っていた。
「おまえには早すぎたのだ。
諦めろ」
グリッと剣を捻ると獅子の身体はまるで膨らみ過ぎた風船のように弾け飛んだ。
宙に飛び散る肉片はしかし
すぐに黒い霧となってその姿を失った。
その一つがディーノめがけて飛んでくる。
鼻先、僅か一センチほどに迫ったところで
ディーノはその肉片を掴み取った。
触れた先から霧となり
固く握られた指の隙間から煙となって這い出ていく。
「ん?」
握りしめた拳の中に固い感触が残る。
そっと手を開いてみるとそこに黒とも赤とも言えない濁った水晶石を見つける。



