「ディーノ様!!」
ファルスの呼び声がディーノの耳に届くか届かないか
瞬間ディーノはソファの足元に立て掛けていたレディ・クライムを蹴りあげた。
クルクルと回転したレディの柄をディーノは掴むと
机をひらりと乗り越え、驚いたようにハッと顔を上げたシュレーヌの頭を抑え込み
机を盾にするようにその場に身をかがませた。
轟音が響き渡り
壁が破壊されたのはその刹那だった。
木製の壁は大きな穴をつくり
白い煙が捲き上がる。
部屋中を砂と埃の臭いが覆い
真っ白い視界は霧のように
そのすべてを閉ざしてしまう。
「麗鬼様!!」
シュレーヌがディーノに縋りつくようにしながら
その顔を見上げた。
ディーノは安心させるように
その肩に手を回し何度か叩くと
にこりと笑って見せた。
「どうやら……夜を待てないらしい」
白いベールのその向こうにゆらりと揺れる黒い大きな影を凝視し
ディーノは苦笑した。
レディがガタガタと興奮したように声を上げる。



