「ダウルレード家の坊ちゃんに
オレの血を与えろとお嬢ちゃんは言うわけだ」
コリコリと顎を掻きながらそう言うディーノに
少女は顔を真っ赤にし「バカにしないで」と叫んだ。
「お嬢ちゃんとは失礼すぎます!!」
「でもねぇ……」
ディーノは目の前に座る16歳の麗しき乙女に
ちらりとだけ視線を送ると肩をすくめてみせた。
「長いこと生きているオレからしてみたら
キミもお兄様も子供なんだよな」
さらりと灰色の髪を掻き上げ
ディーノは困ったように笑って見せた。
「残念だがお嬢ちゃん。
仮にオレの血を飲ませたとしても
キミのお兄様はもう救えないだろうよ」
ディーノの言葉に
投げかける鋭い視線に
少女はビクッと身体を震わせた。
「オレの血を飲んでも彼は元には戻れない。
自らリザネロに取り込まれたのならなおさらだ。
この血が永遠の命を与える力に満ちていようと彼を待つのは永遠の闇。
そう、『終焉』でしかないのだよ」
琥珀の瞳に滲む闇に
少女の瞳が不安定に震えた。



