「お兄様は混血なの?」
ディーノはクスッと口元に悪戯な笑みを湛えて見せた。
その問いに少女は宝石のように
輝く瞳を一気に曇らせ
怒りの炎をそこに宿してディーノを睨みつけた。
「自らその身を捧げたのです」
「リザネロのお気に入りになったわけだ」
ディーノは笑みをしまい込み
鉄の仮面を付けたかのように
凍てついた光を宿した瞳で少女を見つめた。
少女はまたキュッと唇を噛み
「兄は彼女の虜になってしまった」
と吐いた。
「キミはリザネロに会ったのかい?」
ディーノの問いにしかし少女はまた頭を振った。
「兄の仕事場で……兄の手帳を見ただけです。
そこに描かれた兄の絵でしか知りません。
知りたくもない、あんな化け物!!」
少女が奥歯を噛むのをディーノは見つめながら
小さくため息を吐いた。
リザネロ。
混血鬼を生み出す母体。
それをかくまう青年はウズベクトの昼の権力者。
人の長である身の上の者だったことに
頭が痛くなっていた。



