ディーノは足を組み換えながら
目の前の少女を眺めた。


ぴったりとくっついた膝。
その上で固く握りしめられた両こぶし。

乳白色の滑らかな小さな手を
強く強く握りしめて
少女はディーノを見つめ返していた。


「キミが止めたら?」


ディーノはソファの肘掛けに肘を立て
小さく笑みを乗せて少女に言った。


「それが出来たら、ここへは来ておりません」


きっぱり、はっきりと少女が答えた。
その緑の瞳に怒りの色がチラついた。


「そんなに切羽詰まること?」


尋ねるディーノに少女は眉間にしわを寄せ
ディーノを睨みつけるように答えた。


「あなたの世界を崩壊させるほどには」


その答えにディーノから笑みが消えて行く。


「では、聞こう。

キミがやってきた理由を」


ディーノの返答に少女は小さく頷いて見せた。