「今度は何かな?」
顎に手を当て困ったように笑う主に
しかしファルスは眉ひとつ動かすことなく
「殺気を感じましたので」と答えた。
そんなファルスに
ディーノは大袈裟に手を広げて見せ
「困ったもんだな」とため息をついた。
「ウズベクトを本気で手に入れたいようだな」
言いながらディーノはカーテンをつまみ持ち
その隙間から外をのぞき見る。
崩れたレンガの屋根の上に
黒い影がちらちらとこちらを窺うように這い出てくる。
日に照らされた影達には瞳も、そして鼻も口もない。
ただ真っ平らな黒い顔が
まっすぐにディーノたちのいる方向を見つめていた。
「屍たちが……嫌な臭いを撒き散らし過ぎだな」
「最近、昼も夜もこんな状態です。
人々も安心して外へ出ることが出来ないようです」
ファルスの言葉に
ディーノはつまみ持っていたカーテンを静かに放した。
「母体の位置をなんとしても掴まなければならないな」
ディーノの呟きに
レディ・クライムがまたガタガタと興奮するように震えた。



