Infinity blood ~孤高の吸血鬼は蒼い月夜に踊る~


剣はそれ自体が意思を持つように、ガタガタと震えた。

そんな愛しい剣を落ちつかせるようにディーノはひと撫でした。


「みろ、ファルス。今宵も狩りに出なければいけなくなった」


微苦笑する主人に、ファルスは小さくほほ笑みかえしながら「申し訳ありません」と頭を垂れた。


『レディ=クライム』


それがディーノの相棒の名だった。

闇を徘徊し、人間の生き血を啜る闇の住人たちを排除するその力。


『混血鬼』


吸血鬼でもない、人間でもない。

生きるために人間の血肉を啜り、夜を渡り歩く異質な存在。

昼にも夜にも属せない、中途半端な存在。


「それにしても、最近はヤツらの数が多いですね」


ファルスはそう言うと、外を見遣った。

それからツカツカとディーノの横まで進むと、カーテンを引き窓を隠した。

真っ黒なカーテンが日の光を遮る。

そんなファルスの様子に、ディーノはまた微苦笑した。