その言葉にディーノは微苦笑してみせ
「レディがなかなか満足してくれなくてね」
そう言って、ベッドの傍らに立て掛けてある銀色の剣に視線を送った。
ファルスはその視線を追うと、小さく笑み
「貴婦人殿もさぞや昨夜は満足だったことでしょうね」
そうディーノに返した。
ディーノは剣の柄に指を這わせると「だろうな」と頷いた。
「レディは『オレのため』に反逆者たちを喰らうわけだからね」
そう言うと
ディーノは剣の柄をギュッと握ると剣を一回転させ、ファルスの喉元に剣先を突き付けた。
差し込む太陽の光を反射するように、銀の刀身が光る。
その剣先に特に臆することもなく
ファルスは佇み、そっと人差し指を乗せた。
指先の皮がスッと切れ
そこから赤い鮮血が雫を作る。



