「ナオ?」

あたしは戸惑いを隠せなかった。


そして思い切ってとおるに聞いてみることにした。



「ねーとおる。」



「は?」


「ナオって誰?」


「えっ!な、何で?」

動揺してる。

「だぁーれ?」


「関係ねぇーだろ?」

「うん、関係ないね・・・」

あたしは必死で涙を堪えだ。


「じゃ、あたし先に帰る。」

「おいっ、れん!変なこと考えるなよ。」

「考えないよ、だって関係ないんだもん。」


堪えていた涙がついに流れた。


「れん・・・」


「気にしないで、あたし大丈夫だから、大丈夫・・・だから」

「れん。ごめん・・・」

とおるはあたしをぎゅっと抱きしめた。

「とおる?」


「ごめん、泣かないで。オレはれんの泣き顔に一番弱いんだからさ。」


「とっ・・・・」


「はっ、はっ、く、苦しい。」


「薬飲んでないの?」


「発作がす、少なかった・・・から、飲んでない。」

「バカっ!もう〜」

あたしは携帯を取り出して救急車を呼んだ。


「目覚めたのか?」


「おっ、ずっとここに・・・・・・」


「うん、それより全く・・・・いつも心配かけて。」


「えへへ」


「えっ!そういうキャラだっけ?」



ずっといられないと分かっても幸せそうに笑っていた二人の夏が・・・・終わった。