オレはただお前の笑顔をずっと見ていたいだけなのに・・・


十年前

「とおる〜、次なにして遊ぶ?」


「鬼ごっこ、オレが鬼でお前を捕まえるの。いくよ〜!」

「わぁぁー、鬼だ〜、あはは」


「う゛っ!」



「とおる?」


「く、苦しい・・・」



「ちょ、ちょっと待っててね、おばさんよんでくる!」


「はっ、はっ、コホッ、コホッ」



「おばさん!とおるが・・・・倒れた・・」


「なに!」


その後、救急車が来てとおるを病院まで運んだ。



しばらくして、救急室からお医者さんが出てきた。

「先生・・・」



「もう大丈夫ですよ、救急が早かったため今のところでは特に支障はありません。」


「そうですか・・・・」



「ちょっと話がありますのでこちらへ」


「話ってなんですか?」

「息子さんの病気なんですが・・・」


「どうかしたのですか?」


「かなり悪化してますよ。」


「えっ!」



あたしは不意にその話を聞いてしまった。
病室に戻り、寝たままのとおるを見て思わず涙を溢した。


「かなり悪化してますよ。」


「えっ!」


「18まで生きられるかどうかのところですね。」

「そんな・・・先生!あの子を救ってください、お願いします!」


「まず大きくなってから様子を見てみましょう。方法はない訳ではありませんし。」


この会話があたしの頭の中で繰り返されていた。ついに耐えきれなくなり泣き崩れてしまった。


その姿を寝ていたはずのとおるがずっと見ていた。そして、心の中はだんだんと罪悪感に満ちていた。 この瞬間、とおるはあることを心のなかで決めた。