やっぱり。岡本さんの思ってる男の人ばかりじゃないんだよ。
横田さんの旦那さんみたいに、そうやって大切に思ってくれてる人は世の中沢山いるんだ。
傷があるから無理、なんて言う人の方が少ないんじゃないかな?
「初めは傷、スゴく嫌でした。見る度に憂鬱になって……
でも、夫はそう言ってくれて、結婚してくれて子供も……」
その言葉に赤ちゃんの方へと目をやると、いつの間にかすやすや寝ていた。
……本当に、可愛い。
「今は傷が嫌だったり、不安いっぱいだと思うけれど、その子にもきっといい人が表れると思います」
「……その言葉、聞かせてあげたいです」
照れたように笑う横田さん。
岡本さん……素直に受けとめてくれたら良いけれど、また悪い方に受け止められたら。
「……それまでは、高橋先生がその子の不安を取り除いてあげて下さいね。手術前ってすっごく不安になりますから!」
「……頑張ります」
腕の中で寝ている赤ちゃんを起こさないように横田さんへと移す。
腕にかかっていた重さが取れた瞬間、疲労感が。
「疲れたでしょう?」
「……大変ですね」
親は。
だった数分抱いていただけで疲れるのは情けない。
「あ、清水先生にもよろしくお伝えください」
「はい、体調に気を付けて下さいね」
エレベーターに乗り込んだ横田さんと笑顔で別れた。



