「傷?」



聞き返しながら、人差し指で自分の胸を押さえる横田さん。



その様子を見ながら、頷く。



もしかしたら、横田さんも今は幸せを掴んでいるけれど岡本さんと同じように思った事があるかも。


話を聞いて、何か勉強になれば……。



「そっかぁ」


横田さんはそれだけで大体を察したらしい。



しばらく考えているように首を傾げて黙り込んでいたけれど、



分かったように声を出すとまた、にっこり微笑んだ。



「高橋先生はどう思います?」


「え?」


「私みたいな傷のある女は」



まさかの逆質問。



笑顔を崩さず聞いてくる横田さんに、一瞬どう返答すれば良いのか分からなくなった。



だけど、考える事無くこの質問には答えることが出来る。



「別に気にしません。病気を治すために頑張った証拠なんで」



頑張った証拠。



前に岡本さんに聞かれた時から思いは全く変わってないから。



「……一緒だぁ」


「一緒?」


「はい。私の夫も、初めて胸の傷を見た時言ったんです。『痛い思いして、よく頑張ったね』って」