思っていたよりも軽くて、そしてすごく温かい。



抱く人が代わっても、お母さんを求めて泣く気配もなく。



ただ、純粋なキョトンとした目でひたすら僕の顔を見つめていた。



「大人しいですねー」


「でしょ?誰にでも大人しく抱かれてくれるから、助かるんですよ」


「いい子だ……」




優しく、手のひらだけでポン、ポンとリズム良く触れる。



「癒されますね」



僕が赤ちゃんから顔を上げて横田さんに言えば


「お疲れなんですか?」



と心配そうな表情で見られた。



「いえっ!疲れてるとかでは無くて……ただ、本当に癒されるなぁーと」


「患者さんの事で悩んでるんでしょ?先生」



否定したのに、見透かされてるらしい。


疲れてはないけれど、患者さん……岡本さんの事で悩んでいるのは確かだから。



複雑な表情をした僕を見ながら横田さんはフフフと言いながらにっこり笑う。