僕の担当に……。



「これがなかなかの問題児でねぇ……」



てっきりこの岡本さんの病状についての説明を受けると思っていた僕は次に発せられた清水先生の言葉に固まる。




「問題児、ですか?」



今この場で出てくるとは思っていなかった、問題児。



思わず聞き返すと清水先生は頷いた。




「そうなんだよ。
病院を抜け出す、邪魔だからって点滴を抜いたりもたまにするし……さっきも目が覚めて第一声、なんだと思う?」




首を傾げて僕が何て解答するかを待つ清水先生。




「え……また入院かー、とかですか?」




今清水先生から聞いたことで予想して言ってみると、そんな可愛い事じゃないよ、と笑う。




「『せっかくのお気に入りの服がズタズタになった!誰切ったの!』だってさ。自分は死にかけてるのにね」




苦笑いする清水先生に、僕も微妙な笑みを向ける。




死にかけたのに服の心配……。


どんな子なんだ、と思う。



「それに一番の問題は、手術を嫌がるんだ」




僕はカルテに再び目を向ける。



病名の欄を見て……疑問に思う。


清水先生程のベテランだったら難なくこなせる手術。


それを嫌がる……?