「聖」


「……何だよ」


「帰ってくれない?ゆっくり休みたいから」



……今日休んだらまた明日から頑張ろう。



だから今日は、ゆっくり静かに体を休めたい。



「……そんな悲しい事言うなよー。
次いつ秋が休み取れるのか分かんないし、次いつ会えるか分かんないじゃん?」



「次いつ休めるから分からないから今体を休めておきたいんだけど」


「俺より自分の体かよ」



聖がクッションを投げ返す。



「当り前」


クッションを受け止め、はぁーっとわざとらしく聖に向かって溜め池を吐いてベッドに寝転がった。



「分かったよ、もう秋の邪魔しないから寝て良いよ。
……俺はここに居るけれど」



結局帰らないんだ。



「もう勝手にして」



僕の本棚をまた物色しだす聖に向かって言うと、壁側を向いて目を閉じる。



時折、ガサガサと物音がしたけれど僕は眠りへと落ちていった。