「もう行かないと……岡本さんが戻ってきたら、安静に寝ておくように伝えといてください」


「大丈夫です!あたし達がちゃんと見張ってますから」




僕は頷いて、そして部屋を出て走って呼び出されたナースステーションへと向かう。



走りながら、頬が緩む。



自分でも、笑っているのが分かるんだ。




いい事を聞いた。



『僕からの連絡を待ってる』


抜け出して、僕がかけた電話に出た岡本さんはいつも不機嫌な口調で。


帰って来たときも黙って僕の質問に答えてくれないけれど、何気に気にしてくれてる。



それが何とも言えないけれど、嬉しかった。



友達と遊びたい気持ちもすごく分かるし、好きな時に自分の好きなように動きたい気持ちもすごく分かる。




元気の良い若くて遊びたい年頃の岡本さんを病院に閉じ込めてしまって、申し訳ないと思うけれど。



全部、岡本さんの為なんだ。



なるべく抜け出せないように僕は見ておくつもりだけど。




逃げ出した時は、何度でも繋がるまで連絡して迎えに行ってあげる。




そう思った。