「……じゃあ僕はもう行きますから。あまり無理をしないように帰る準備をしてくださいね」



早速キウイを掴もうとしている心に告げる。


さっき剥いたばかりの林檎はもう2、3個しか無い。




「高橋」



名前を呼ばれて心を見ると、美味しそうに口を動かしながらこっちを見ている。




「……美味しい。ありがとね」




笑顔でそう言われれば、僕も自然と頬が緩む。





そして思うんだ。






この笑顔を消してしまわなくて良かった。




これからもこの笑顔を見ることが出来るんだ、と。






 Side高橋

    ―君の笑顔―