「満足?」



夕食の材料と、誕生日のケーキを買ってから、車に乗り込んだ。


車を運転しながら、隣で息つく岡本さんに聞く。



「すっごい満足」


……良かった。


少しは元気になってくれた…よね。



「ね、高橋」


しばらく経った頃。


岡本さんが話し掛けてきた。



「ん?」


「あたしの家の場所、知ってるの?」



ちょっと気になったらしい。



岡本さんの詳しい住所なんて覚えてないし。



「……知らない」


この問題があった。



岡本さんは、泊まりの事も知らないんだった。



「じゃあどこに向かって走ってんの」


「僕の家」


「何で高橋の家に行かなきゃいけないのよ!
あたしの!家に帰るんだから!道教えるから!」



焦りの混じった岡本さんの声。



「ちょ、危ない!離して」




横から伸びてきた岡本さんの手が腕を掴んで揺さ振る。



危ないって。


運転してるから!