僕を見て立ち止まった岡本さん。


あさみちゃんはそのまま歩いて近付いてくる。



「どこに行くか決めてくれましたよね?」


「……一、応」


「なら、良いですけど」



ニコっと笑って振り返り、今度は岡本さんの方へ行く。



「何突っ立ってんの?はい、乗って」


「は?」



あさみちゃんと椿ちゃんは岡本さんの腕を掴んで車に乗せようとする。



「ちょっ!待って!」




困惑しながらも取り敢えず抵抗する岡本さん。



力任せに引っ張る岡本さんを見ながら、ちょっともう少し優しく……と言いたくなった。



病人なんだから。



抵抗したのも虚しく押し込められる形で車の中に入った岡本さん。


……行きますか。




「じゃ、高橋先生、後お願いしますね」



僕も運転席に乗り込むと、あさみちゃんが声をかける。


「任せて下さい」


「ね、どういうこと!?意味が分かんないんですけど……」


状況が分からず椿ちゃんに助けを求めるが、椿ちゃんもあさみちゃんも笑っているだけ。



「あ、はい!これ、心が希望してた誕生日プレゼントね」