【完】君の笑顔






「恋愛って……そんな目で患者さんを見てないですよ」


「嘘だ!」


「嘘じゃないですって」


「じゃあ何であんなに心の事を気にしてたんですか!」




まくし立てるようになってきだしたあさみちゃん。



「……僕の担当だったからです」


恋愛で何て見てない。



と言うか、ベテランで、上司で、大先輩の清水先生の前で何て事を聞いてくるの……。



何も悪い事はしていないのに、変な汗が体から出てきている気がする。




「じゃあ心が言ってた通りなんですか」


「……何が?」



岡本さんが何か言っていたの?




「心に優しくしていたのは、先生が心の手術をしたかったからですか。
抜け出した時に心配してたのも、心に何かあったら先生が責任を問われるから?

もう発作が起きないから心配いらない、だから朝と夕方しか様子を見に行かなくなったんですか?」



次々と出てくる全く違う誤解している話に、思わず眉を歪める。



「それ……岡本さんが言ってたんですか?」



あさみちゃんが一回喋りを区切った所で僕が口を開く。



黙り込むあさみちゃん。