日に日に回復して行く岡本さん。


表情はまだ晴れないし、傷もまだ見ようとはしてくれないけれど退院の日が近付いて来ていると思う。



「高橋君とはまだ仲直り出来て無いみたいだね」



その言葉に、苦笑した。



「仲直り、ですか。良いです。僕は嫌われたままで。
……やっと岡本さんがずっと願っていた普通の生活を送れる日が来るんですよ」



ずっと普通の生活がしたいとボヤいていた。



制限された病院が嫌だと。


閉じ込められていた病院が嫌だと。



そこから出られるんだから。



僕も、嫌われても1人の命を救えて良かったから。


「でも、心ちゃんは嬉しそうじゃないけどね」


「……どう言う事ですか?」


箸を止めて、清水先生を見る。

清水は意味深な笑みを僕に向けたまま。

「心ちゃん、一回もいつ退院出来るのかって聞いて来ないでしょ?いつもなら真っ先に聞いてくるはずなのに」


……そう言われれば。


「手術のショックで聞く気が起きなかったんじゃないですか?」