……今日、清水先生は休み。



消毒は、僕がしなければいけなくなる。



岡本さん、嫌がるだろうな。




「音聞かせてね。
あ、服は前開けなくて少し捲ってくれたら良いから」



僕と看護師を見た瞬間、清水先生を探した岡本さん。



来ていないことに気付いて、表情がすぐに曇った。



特に気にせず聴診器を耳に付けて岡本さんが軽く上げてくれた服の下に手だけを滑り込ませる。



「……今日、清水先生休みだから。僕で我慢してね」


静かに深呼吸を繰り返して終わるのを待っている岡本さんに自分から告げた。


清水先生は?と思っていたはずだから。


……音は綺麗になってる。


服から腕を抜き、消毒の準備へ。

……いつか、自分の傷を見てくれる日が来るのだろうか。


見えないように消毒しているのに顔を背ける岡本さんと、出来たばかりの傷。


綺麗な肌に一直線に引かれた傷。

それを縫った為、横にも何本もラインが出来ているけど。


僕は、こういった傷を何回も見ているから何も思わないけれど、普段見ることの無い普通の人には抵抗があるんだろうな。