手術が成功して終わってしまえば、彼女に笑顔が戻るかと思っていた。



それは、僕の願望に過ぎなくて。



彼女は笑顔どころか、逆に無表情でいる事が多くなってしまった。



あの日から数日。



術後は痛いはずだから、いつでも痛み止めを飲んでも良かったのに岡本さんは絶対に手を伸ばさなかった。




普通の患者さんなら、痛いと言いながら飲むのに。



絶対に薬の力を借りようとしなかった。



そして僕は……岡本さんに完全に拒絶されていた。




岡本さんのベッドを離れた後、僕の頭の中には言われたばっかりの言葉が繰り返されていた。



死んだほうが良かった。






良くなったのに、そこまで思う岡本さんの気持ち。



そして、そう思う原因を作ってしまった僕。




数時間置きに様子を見にベッドへ近づくと目を瞑ったままの岡本さんがいて。



目自体は瞑られているけれど、その周りの皮膚が泣きすぎて赤くなっているのに気付いた。



寝たふりをしているだけだと分かっていても、上手く言葉が見つからなかった。