……聞きたくなかった言葉がグサッと胸に突き刺さる。
グッと握った手に力が入った。
「出てって」
擦れて、涙声を隠すように出した弱々しい声。
岡本さんは僕に涙を見せたくないのか、ギュッと目を瞑って視界を遮断した。
僕の前でも我慢して泣かないでいる。
声をかけてあげたいけれど、これ以上何と言ってあげたら良いのか分からない。
まだ手術した事を受け止められていない岡本さんに、今僕が何を言ってもどうしようも無いと分かっているから。
「……何かあったらいつでも呼んでください」
本当は傍に居てあげたいけれど、今は一人にさせてあげた方が良いみたいだから。
目を瞑って、でもまだ苦しそうにしている岡本さんに、たったそれだけ。
それだけの言葉しか言う事が出来ないまま、ベッドから離れた。
「体だけじゃなく、心まで傷付けてしまったんだ……」
溢した言葉は、誰かに聞かれる事もなく、虚しく消えていった……。



