痛くないはずが無いのに。


ここでも反抗心か、断る岡本さん。


僕が聞かずに黙って入れれば良かった。




「術後で熱も出てるから、ゆっくり休んでくださいね」



岡本さん額へと手のひらを前髪の下に差し込むようにして乗せる。



熱も大分高く出てるな……。




「……もう帰って良いよ。寝るから」



岡本さんは、今度は僕と反対側にいるご両親に視線を動かし、言う。



「寝るまで付いてるわよ」


「一人になりたい」




……岡本さんの言葉に、グッと岡本さんのお母さんの口が引き結ばれた。



そんなお母さんの肩にそっと触れてから今度はお父さんが岡本さんに近付く。



「…分かった。また明日来るから。ゆっくり休みなさい」




少しだけ動いた顔。