「先生」
笑っていた僕達は同時に声のした方を見る。
看護師が立っていて、あぁと清水先生が呟いて立ち上がった。
「良かった。心ちゃん、目が覚めたみたいだね」
目が……
勢い良く立ち上がった為、少し後ろに滑った椅子。
「行ってきます」
椅子を元に戻す事もせず、呼びに来た看護師の横を通り抜けて、僕は走りだしていた。
……ドアを開けて岡本さんのベッドへと向かう。
ちょうど、お母さんと話している所だった。
「……気分はどうですか?」
笑顔で岡本さんを覗き込む。
まだ意識がハッキリしていないのか、ぼんやりと僕の方に視線だけ動かす。
「手術……」
呼吸器で覆われている口が微かに開いて、小さく言葉を発する。
擦れた、力の無い弱々しい声が僕に発したのはやっぱり“手術”の事。
僕は笑顔を崩さないように努めながら説明を始めた。
「発作を起こして非常に危険な状態でした。
急いで岡本さんのご両親と連絡を取って緊急手術しました」



