「心ちゃんの心臓は、手術しないと危ない限界の所まで来てた。
有無を言わさず手術した事は本当にしょうがないんだ」
ゆっくりと口を開いた清水先生。
「これからが大切。心ちゃんは肌にも、心にも傷が入ったんだ。それを癒していかないと……。高橋君がしないといけないんだよ」
清水先生は優しく言葉をくれる。
他の先生では無く、清水先生に教えてもらえて良かったと思う。
「……先生?」
ポツリと名前を呼べば、清水先生は小首を傾げながら僕を見る。
「僕、岡本さんに嫌われちゃったかもしれませんね」
せっかく担当医って認めて貰えそうだったのに。
そう嘆けば、清水先生は声を出して笑った。
「ふふっ……高橋君、良いこと教えてあげようか?」
笑顔のまま僕の方へと顔を近付け、声を潜める。
今は夜。
常勤のスタッフはもうすでに帰ったし、夜勤のスタッフは皆センターの方に居てここには僕達しかいない。
誰も話を聞く人なんて居ないから、声を潜める必要なんて無いはずなのに。



