「…嫌……手術だけは……」



小さく聞こえてくる声。



こんな状況でも手術を必死に拒もうとする岡本さん。




なんで……。



「大丈夫だから、頑張って」


頑張って。



そう言った瞬間、痛いくらい強く掴まれていた腕の力が抜けた。



「岡本さん!」


「高橋先生!」




バタバタと慌てて来たストレッチャーに岡本さんを乗せて、走る。


「清水先生は」


「既にオペ室で準備しています!このまま運んで手術だと」



岡本さんに器具を付けながら看護師が言う。



手術……。




オペ室へと運ぶと待機していた別の看護師と清水先生も加わって素早く発作の処置を行っていく。



「一度容態を落ち着かせてから手術に入ろう」


「先生……手術ですか」


「ああ。ご両親も同意してる。今こっちに向かってるよ。心ちゃんには悪いけど……もう待てない」



これ以上待てない状況にまで陥った岡本さん。



このままダラダラと手術を先延ばしには出来ない。